古本と珈琲モジカ
西村優作

良質な古本が街と人をつなぐ

福知山の広小路商店街には、昔数軒の映画館があった。

現在は福知山シネマがあるのみだが、このローカルな地で独立系の映画館が運営されているのは極めて希少だ。

映画館の隣にある「まちのば」は、地方都市からの文化発信を目指すコミニュティスペースとして作られた。

その2階に「古本と珈琲モジカ」がある。

「福知山コンセプトツアー」でも立ち寄ることができる。

かつて信用金庫の支店だった空き店舗を利用したスペース「まちのば」は、2014年の5月にオープンした。1階は多目的に使えるレンタルスペース、2階がこだわりの珈琲とスイーツでゆったりと、本が「読めて、買える」をコンセプトにしたブックカフェだ。店長の西村優作さんが出迎えてくれた。棚一面に配し本棚に、ぎっしりと古本が置かれている様が印象的だ。蔵書の数は、在庫を含めると1万冊以上。文芸、歴史、絵本、漫画から、ちょっとマニアックなものまで、古本のジャンルは、実に幅広く奥深い。すべてブックキュレーターでもある西村さんが、収集したものだ。古本が好きで、東京の一箱古本市では外国文学の品揃えの良さを評価され、批評家賞を受賞した経歴をもつ。

「出身は兵庫県の城崎です。福知山には縁もゆかりもなかったのですが、近隣ということで、馴染みはありましたね。この2階のスペースをブックカフェとしてやってみないか、と知人に声をかけられ、面白そうだからやってみようと。昨年は台風による浸水の被害もありましたが、ここでの暮らしも1年がたち、ようやく手応えを感じられるようになってきました」と西村さんは話す。地方都市でのブックカフェ開業。様々な困難はありながらも、持ち前の明るさで乗り切ってきた。今では、こだわりの選書が口コミで広がり、古本好きな人たちが、全国からわざわざ訪ねてくるという。地元の若者たちの、気軽にお茶ができる場所としても定着しはじめているよう。

1
2
3

⒈西村さんは本の選書に余念がない。絶版本や希少本など、その品揃えは秀逸だ。本好きにはたまらないツボを押さえている。中でも岩波文庫の豊富さはピカ一。「今後は地域にまつわる本も、徐々に増やしていき、この地の失われた歴史や文化の痕跡を拾い集めていきたいですね」。2.珈琲は豊岡の焙煎コーヒーで有名なヒグラシ珈琲のもの。読書にふさわしい深煎り!地元のセレクトショップ『ARIA』の木工家具で、落ち着いた店内に。3.独自イベントも企画。この日は福知山出身の噺家、桂三扇さんの落語とお話し会を開催していた。その他、月一で読書会やブックパーティーなども行う。

3階は、福知山が見渡せる屋上緑化テラス。福知山城や音無瀬橋などが一望できて、天気の良い日などは、こちらでカフェメニューを楽しむことができる。見晴らし絶好のスペース。これからの季節は、由良川から渡ってくる風の気配も気持ちいい。観光の拠点としてぜひ活用したい場所だ。(※風の強い日や凍結時など、天候によって利用できない日も。)

福知山シネマ」は、2001年相米慎二監督の遺作「風花」の製作参加を皮切りに、森崎東監督「ニワトリはハダシだ」など精力的に話題作を発表するシマフィルムが運営する映画館だ。2スクリーンで、こだわりの映画を上映。地方都市からの文化の底上げにも注力する。10月17日から、舞鶴でロケが行われた「日本のいちばん長い日」が公開される。