伊根湾を愛する漁師
橋本弘

伊根湾で養殖業、橋本水産を営む橋本弘さん。

伊根に生まれ育ち、家業であった漁業を受け継ぐ三代目だ。
「夏は岩牡蠣、冬はぶりしゃぶで知られる伊根ブリ、カンパチなどを育てています。
ブリなどは手間がかかり、養殖が難しいのですが、伊根湾の水はきれいなので、天然に近い味がだせるのです」
と橋本さん。
近頃は漁師の高齢化も進み、漁業の担い手も少なくなってきている。
その中で、橋本さんは、若手として期待される一人だ。

夏の季節は、岩牡蠣が最盛期。自宅から船を出すと、伊根湾の真ん中にある牡蠣棚に到着した。棚にはそれぞれに1〜4年間まで、生育年数の違う牡蠣が吊られているが、ここの牡蠣はじっくり育て、4年目になって始めて収穫するのが特徴だ。1個あたり300〜500gの身入りの良い、大きな牡蠣に成長するまで待つのだという。 その牡蠣は、エグミのない、マイルドな口当たり。水が汚いと、3年以上は持たないそう。また、その大きさもびっくりする。

「子供の頃、舟屋の前に漁船がずらっと繋がれていたことを覚えています。その光景は、カッコよく、壮観でしたね。それを見て、自分も漁師になろうと決心したのです。伊根の舟屋が魅力的なのは、漁師の暮らしがあってこそ。伊根湾の美しい海、魚たちと毎日向き合うのは、本当に楽しくここで漁を行う醍醐味と言えます。なんとか、あの時代の活気ある漁の姿を取り戻したいですね」と橋本さんは話す。橋本さんは、現在、伊根地域の活性化などの活動を精力的に行い、次の漁業を担う若手育成にも余念がない。その活躍に期待がかかっている。ちなみに、橋本さんの岩牡蠣は、道の駅レストラン舟屋お食事処油屋などで食すことができる。ぜひ、お試しあれ!

船で5分も行けば、養殖場に到着する。春夏秋冬、伊根湾の美しい景色を海上から見ながら、毎朝養場へと向かう。それは何にも変えがたい贅沢な時間という。船が到着すると、魚たちも寄ってくるのだそう。

10
11

10.牡蠣棚からロープを引きあげると、牡蠣が鈴なりに!かなりの重さがあって、引きあげるのも重労働だ。今ところ、作業はすべて橋本さんが一人でこなす。11.海の中の牡蠣はこんな様子。海水が澄んでいるので、かなり下の方まで見渡すことができる。

まだ若い岩牡蠣。これから300g程度まで成長する。中には500g超えのものも。滅菌海水装置を導入しているので、生でも美味しくいただくことができる。

English Site Kyoto by the Sea