竹野酒造
杜氏・行持佳樹

若き杜氏の挑戦的なものづくり

海の京都のエリアには、13の酒蔵が存在する。

海と山に囲まれた風光明媚な土地柄に恵まれたとこから、古より稲作文化が栄えた。

伊勢神宮にも酒を伝えたという。

現在も屈指の米どころだ。

京丹後市の真ん中あたり、弥栄町に竹野酒造はある。

代々続く酒蔵を受け継いだのは、若き6代目で杜氏の行持佳樹さんだ。

従来から伝わる伝統的な技術を踏襲しながら、グローバルな視野に立った新しい日本酒づくりに挑戦。

発展途上の注目の酒蔵だ。

峰山から482号を山間部に入り、竹野川沿いに進むと「弥栄鶴」という看板が見える。田んぼの中に、ぽつんとある蔵が竹野酒造だ。竹野川流域には遺跡が点在する。はるか彼方から、豊かな文化が育まれた土地ということがわかる。創業は江戸末期。地域にある神社の神事用の酒を作っていたことに遡る。戦前、近隣には多数の酒屋があった。今では4件になってしまったという。「地酒屋」として、地元とのつながりを大切にするのが企業理念だ。

石川県の酒蔵や東京の酒屋で修行。世界の最高峰の酒に接してきた行持さんは、竹野酒造の酒作りに危機感を覚えたという。「東京で毎日開かれる試飲会。日本酒、ワイン、ブランデーと、様々な品種のお酒を試す機会に恵まれて。その中で、自分の家が作っている日本酒は、雑味が多く、まったく洗練されていなかった。これでは世界に通用しないことに気づいたのです」と、行持さんは話す。そして、2009年。蔵に根づく保守的なものづくりと戦い、積み上げたものは引き継ぎながら、ゼロからの酒作りをスタートさせた。

そんな時、弥栄町の郷土史家、芦田郁雄さんから幻の米といわれた「亀の尾」の種籾3㎏が持ち込まれた。だが、それだけの量では仕込みもできない。協力農家を探し、一反の米を作ることから始まった。試行錯誤の末に、300㎏の亀の尾を収穫。行持さんにとっても、初めて仕込む酒だ。様々な困難を乗り越えながら、そして60%精米、自家酵母を使用した純米酒「亀の尾蔵舞」は誕生した。翌年の仕込みからは、近隣のこだわりの農家が続々と参加し、亀の尾を中心に地域に輪が広がっている。

「亀の尾蔵舞」は、甘口でキレの良い旨味。初心者でも飲みやすく、2010年にコンクールの純米酒の部で金賞、2012年にはワイングラスで飲んで美味しい日本酒アワードの金賞に選ばれた。酒を作るだけでなく、飲み方の提案もしていきたいという。

冷やして、デキャンタ。ワイングラスで飲むがおすすめとか。フルーティな香りが立ち、まるで白ワインのような優雅さや繊細さを感じる。

もっと多くの人に、竹野酒造の作る酒を知ってもらいたいと、酒蔵蔵に併設する「Bar362+3」をオープンさせた。目の前は田んぼを見ながら、日本酒が飲める素晴らしいロケーション!完全予約制で、一般には金曜日、夕方〜のみオープン。竹野酒造の日本酒のラインナップがすべて揃うほか、地の素材を使った料理との組み合わせや飲み方の提案を行う。新しい京丹後のテロワールを堪能できる。

飛び立つ鶴がブランドマーク。現在製造する日本酒は、主力ブランドの亀の尾蔵舞、旭、祝、錦、祭の5種類といちごのリキュール、きょうおとめ。どれもが、郷土の愛とストーリーに満ち溢れている。