嶋七 嶋田克己さん
山本農園 梅原治喜さん

海と山、太古の自然に育まれた恵

古より舞鶴の漁師たちは、
美しい海を守るために成生岬にある樹齢300年超えのシイの巨木「スダジイ巨木」をはじめ、
海岸近くに広がる森林の伐採を禁じてきた。
「魚付林」という海辺の森林は、環境保護の観点から今でこそ注目されるが、
舞鶴の先人たちは、それが魚を引き寄せることを経験値として知っていたのだという。

新鮮な魚の旨みを凝縮

舞鶴かまぼこ 嶋七 嶋田克己さん

かまぼこは、神功皇后が三韓渡航の途中に、魚をすりつぶし鉾の先につけて焼いたのが始まりであると伝わる。1115年に書かれた古文書の中に、すでにかまぼこの記述も。もともと、かまぼこは竹の筒に塗りつけて焼いていた形状のもので、がまの穂に似ていることから、がまの穂と呼ばれ、いつしか、かまぼこという名称になったそう。板についたかまぼこは室町時代から作られるようになり、それまでのかまぼこは、竹輪と呼ばれるようになった。

天然の良港として知られる若狭湾に面する舞鶴では、季節を問わず美味しい魚が取れることから、古くからかまぼこ作りが盛んだった。田辺城籠城の時、地元漁民たちが水軍にも劣らない活躍をしたことから、魚の加工を自由にして良い、という待遇を受けたと言う。「嶋七」の創業は大正9年。初代は町衆文化が息づいていた吉原地区で、魚の加工業をしていたそう。現在は、舞鶴港を望む場所に工場があり、創業以来、恵まれた新鮮な材料と伝統の技で、昔ながらの製法にこだわり、舞鶴かまぼこを今に伝える老舗。白グチ、エソなどの新鮮な生魚から作る上質なすり身は、魚の味を大切に極度の水晒しを避け、塩は天然塩を原料に、国産にがりを配合したかまぼこ専用塩を使用し、魚本来の旨みを引き出している。舞鶴かまぼこの特徴は、1回目すわり(43℃で約50分)、2回目本蒸し(90℃で約50分)という2段階蒸し上げを行うこと。これによりプリプリで歯ごたえのある独自の食感が生まれる。

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1.塩、調味料を加えすり身と練りあわせる作業。季節変動の大きい魚を原料にしているすり身は、その調整が難しく、熟練した職人の勘と技で、塩の投入や、練りあがりなどの微妙なタイミングを見極める。2.白とピンクの染め分けが、舞鶴かまぼこの特徴の一つ。美しい染め分けは、料理に彩を添える。3.かまぼこは2段階蒸し、冷却を経てパッケージする。多くは、地元を中心に京阪神で消費される。それ以外には、ウェブサイトなどでの取り寄せも可能。「かまぼこは、魚の良質なたんぱく質が豊富で、低カロリー。かまぼこを噛むと、脳にα波が出て集中力を高めるそう。伝統的食品であるとともに、健康食品でもあるのです。どんどん召し上がってくださいね」と嶋七代表の嶋田克己さん。

紅白のかまぼこはお祝い事やお正月などの、特別な日のおもてなしや御遣い物として利用される。焼きかまぼこは、香ばしい風味の定番で、食卓に上ることも多い。年末に向けた、これからのシーズン、舞鶴かまぼこ生産はフル稼働なのだとか。