環境に優しい農法での葡萄作り

アルギット葡萄 梅原農園 梅原治喜さん

舞鶴、大浦半島は、若狭湾に突き出た風光明媚な半島。その中核を構成する多袮山には、西国薬師霊場30番札所の多禰寺(たねじ)があり、それは、この地方最古で飛鳥時代に起源を遡ると言う。舞鶴湾を望むその半島の付け根、平地区で葡萄農家を営むのが梅原農園の梅原治喜さん。アルギット農法という、ノルウェー産の海藻を使った環境にやさしいやり方で、手間ヒマかけ、丁寧に愛情込め育てた葡萄は、大粒でさっぱりとした甘さが特徴だ。ピオーネ、シャインマスカット、藤みのりなどが秋になるとたわわに実をつけ、地元はもちろん、全国にも待ち望むファンが多い逸品。

「人とは違うことをやってみるのが好きですね」。長年、この地で農業を営む梅原さんは、好奇心旺盛で常に新しいことに挑戦したいと思っている革新的な農家。リーズナブルで、良質な葡萄を食卓に届けたい、という思いから、試行錯誤を重ね、行き着いたのがアルギット農法だと言う。アルギット農法とは、北欧ノルウェー産の天然海藻を使い、農作物を育てるやり方。まず、土作りから始まり、海藻に鶏糞などを混ぜ発酵させた肥料で、土の中の微生物を増やし土壌を活性化。すると、農薬には頼らなくても健康的な葡萄が育つ。海藻にはミネラル、カルシュウム、鉄分など、たくさんの成分が含まれ、それらの滋味もたっぷりと取り込んでいるから、他とは違う、豊かで濃厚な味わいの葡萄が出来上がるのだ。

もちろん、収穫までには、葉への堆肥の散布や実の間引き、袋がけなど、手作業の時間がかかる仕事をこなす。一房の葡萄は約40粒程度の実をつけ、ずっしりと重く1㎏になるものもあるそう。ご自身もぶどうが大好きという梅原さんだが、現在の悩みは跡継ぎがいないこと。葡萄づくりに興味のある方は、ぜひ連絡を!

現在は、約6400㎡の敷地で、8棟のハウス栽培を行っている。ハウスの中は、葡萄の甘い香りで満たされていて、それだけで幸せな気分に。

舞鶴の東側の港の古名は「枯木浦」。「丹後風土記」によると、国を造ろうと笠松山(愛宕山)に登った2人の神が、島に呼びかけたところ、浮島、鳥島(からす)、蛇島、戸島の4島が集まったそう。その時の呼び声「カレキカレキ」(=おいでおいでという意味)から、名前の由来からきているのだとか。戸島では古代の祭祀土器が発見され、鳥島(からす)は中世水軍の水島碇之丞が城を築き、現在でも弁天様が祀られている。現在は面影が薄れつつあるが、壮大な自然の育みの中で古代ロマンと近代モダンが入り混じり、その恩恵を受ける稀有な港。

海と山は繋がっている。名物の舞鶴かまぼこや芳醇な大地を利用したこだわりのアグリブランドなど、古代から育まれてきた豊かな自然への畏敬は、現代まで脈々と引き継がれているということを、ここ舞鶴で実感できるはず。