海の京都

和の源流をめぐる旅

その四 福知山

京都府の北部に位置する福知山は、豊富な鮎の漁場としても知られる由良川流域の福知山盆地に開けた街だ。

市内に縄文時代から点在する遺跡などから、縄文時代から、この地域には人々の営みがあったという。

出雲、北近畿などへの交通の要所だったことで、文化も栄えた。

明治末期、大阪や京都への鉄道が開通すると、北近畿の交通の拠点としてさらなる発展を遂げた。

国鉄の福知山鉄道管理局(現JR西日本福知山支社)が置かれ「鉄道のまち」として知られる。

福知山コンセプトツアー

明智光秀が築いた城下町

戦国時代、織田信長の命で丹波を平定した明智光秀が、福知山城を築き、この地は城下町として栄えた。

築城の時、「ドッコイセ」という掛け声のもと、町衆が一致団結して石材などを運んだという。

その掛け声に、身振りがつき、おもしろおかしく唄い出したのが、現在も親しまれている「福知山音頭」の始まりとされている。

この町では今もそんな足跡を多数見つけることができる。

福知山在住観光ガイドと共に、それらの場所を訪ねるのが今回の旅の目的だ。

福知山観光ガイドの会、塩見豊さんに導かれて福知山城を訪ねた。福知山城は、1579年頃築城。もともとは、簡素な山城だった「横山城」に、石垣と天守閣を備え拡充して福知山城になった。1600年に、有馬豊氏が城主になると、城と城下町の整備が本格的に始まり、現在の町割りの基礎に。以後、1669年に朽木氏が城主になって、明治維新まで13代に渡り福知山藩を治めた。ところで、ガイドの塩見さん。横山城主、丹波国の武将だった塩見頼勝の流れをくむ方。福知山には塩見姓が多いそうで、代々伝わる明智光秀への恩恵の話など、歴史的こぼれ話を聞けるのも興味深い。

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⒈天守台や本丸の石垣は、光秀築城当時の面影を伝えるもの。「野面積み」という方法で、自然石がそのまま積まれ、約400年を経て現代に至る。石材は五輪塔、石地蔵などの石塔類も多い。ハート型の石もあるというから、ぜひ探してみて。2.天守閣最上階からの眺め。右前方のこんもりとした茂みは明智藪。土師川と由良川が合流する地点で、たびたび氾濫を起こしていたため、明智光秀は城下建設の際、由良川の流れを北に付け替え、堤防を築き、水の衝撃を和らげるために藪を設けたと言われている。3.城の壁には、狭間(さま)という四角形や三角形の穴があいている。ここから侵入した敵に向かって矢や鉄砲を撃つ。4.城内に展示されている城下の絵図。

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⒈町歩き合間のお楽しみは、栗を使ったスイーツで有名な「足立音衛門」への立ち寄り。店舗として使われている建物は、由良川の堤防工事に尽力した建築ゼネコン、松村組創始者の住宅として明治〜大正期に建築されたもの。切妻造り平入り木造2階建ての町屋で、茶室、ビリヤード場、洋館など計10棟で構成された貴重な建築群。2.世界からよりすぐりの栗を集めたスイーツが人気。栗のシュークリームや丹波栗のタルトは、売り切れ必須だ。大粒の和栗を使ったパウンドケーキはお土産にしたい。3.ランチは、地元の料理屋「桐」で。福知山の旬の素材を使ったメニューは、このツアーだけの限定。やくのそば、地元で採れた本ワサビ、福知山野菜の天ぷらなど、ヘルシーな構成。4.福知山の鉄道の歴史や模型を展示した「福知山鉄道館ポッポランド」は、童心に帰り大人でも楽しめる。特に2号館にあるシゴハチと呼ばれる、C5856の機関車は、運転席にも座ることができるから、楽しい気分はさらに盛り上がる。

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⒌「福知山市治水記念館」。福知山には、一方で由良川の氾濫による治水と防災に向き合ってきた歴史がある。旧城下で最も古く、呉服業を営んでいたという町屋を記念館に。洪水時に荷物を階上に避難させるタカ、と呼ばれる吹き抜けなど、当時のままの特徴的な造り。1953年台風13号による災害で、福知山を覆った水位が掲げられている。6.普段は穏やかな由良川。昔、音無瀬橋の辺りには河川敷水浴場があり、子供たちはここで泳いでいたそう。7.8.旅の締めくくりは「御霊神社」へ。地元では「ごりょうさん」と親しまれる、明智光秀を祀る神社だ。福知山という地名は、明智光秀がつけたもので、もともとは「知」ではなく「智」の漢字を使っていた。城下町を作り、税金を免除したり、治水の整備を進めるなど、町の発展の基礎を築いた。領民からも慕われていたという。一方で、災害の頻発は、光秀の祟りではないか?とも考えられ、その魂を慰めるためにこの神社に祀ったそう。災害のない安心な町であって欲しい、との願いも込められている。

福知山の昔ながらの商店街の街並みは、ノストラジックな雰囲気だ。夕暮れの由良川はどこか美しく、同時に、たび重なる水害を克服してきたこの地の人々の叡智を思う。ぜひ、この地の新しい魅力を知って欲しい。