e-Bikeで天橋立と阿蘇海めぐり

旅とトレイル

e-Bikeで天橋立と阿蘇海めぐり

伊根に引き続きe-Bike(電動アシスト付きレンタサイクル)で天橋立エリアを満喫する。
e-Bikeは京都海道から指定された橋立ベイホテルで受け取る。

今日は天橋立を有する阿蘇海をぐるりと一周する予定。長丁場になりそうなので、まずは腹ごしらえ。下調べをしていた地元で人気の食堂で丹後の新鮮な海の幸を堪能する。

名物の地イカ丼ぶり食べくらべ

名物の地イカ丼ぶり食べくらべ

1軒目は「よし乃や」。
ここの名物「イカの贅沢丼」は丹後産のアオリイカ(夏は白いか)をたっぷり使った丼ぶりで、生卵を絡めて食べる。イカの胴の部分は刺し身で、ゲソはボイルしてあり2つの食感と風味を堪能することができる。
丼から溢れんばかりのイカの量にびっくりする。甘みが濃い刺身とぷりぷりのゲソを交互に楽しんでいたらあっという間にたいらげてしまった。娘たちは特にゲソが気に入ったようだ。

よし乃や

よし乃や

そしてもう1軒が「つるや食堂」の名物「丹後のお宝丼」。この丼ぶりには地元丹後の旬のイカに加え、宮津市北部の養老地域で採れたアカモクという海藻や北陸や山陰産のバイ貝が乗っている。こちらも生卵を絡めて食べる。
磯の香りをたっぷり含んだ新鮮な海の幸に舌鼓。妻はわさびを付けすぎたのか鼻を押さえて上を向いて固まっている。長女に「そんなに慌てて食べるからだよー」と言われみんなで大笑いした。元伊勢籠神社に奉納される古代米からつくられた名物赤米うどんは、薄紅色をしていてもちっとした食感。この付近でしか食べれない食材ばかりでまさにお宝だ。

つるや食堂

つるや食堂

満腹になったところで、まずは股のぞき発祥の地、傘松公園から天橋立をしっかりと拝む。
天橋立は言わずと知れた日本三景のひとつ。全長約3.6km、幅20〜170mの砂嘴(さし)で、その砂地には約5,000本の松が茂り、まるで天に舞う架け橋のようであることからその名がついた。特に、この傘松公園からは「斜め一文字」に伸びる天橋立が見られる。

股のぞき発祥の地へ

お天気もいいので、成相山の中腹にある公園まではリフトで上がることにした。
次女はリフトに乗るのが初めてで緊張している。降り場に着いた時には緊張から解放され一気に走り出してしまった。その先に待っていたのは一面の空。
「わーーー綺麗!!」
目の前に広がる絶景に思わず声を上げた。

空に突き出した見晴らしのいいスカイデッキはガラス張りになっていて、まるで空中散歩をしているような浮遊感がある。

ご丁寧に「股のぞき台」と書かれた台を見つけると、子どもたちが早速面白がって、我先にと台に上がり、股の間から顔を覗かせる。その姿が滑稽らしく、2人で顔を見合わせて大爆笑している。
楽しそうだけど、なぜ股のぞきをしているのかはあまり分かっていなさそうだ。

僕も子どもたちに続いて、股の間から顔を出す。ぐらんと景色が回る。「海が空に、空が海になって天に橋が架かる・・」確かに・・・こうやって見るほうが、なんだか特別な景色に見える。ここが股のぞき発祥の地と聞いたけど、面白いことを始めた人がいるもんだ。

松林を抜けて 〜いざ、天橋立縦断〜

傘松公園を後にして、いよいよ天橋立を縦断する。
潮風を感じながら松並木をe-Bikeで駆け抜ける。左に宮津湾、右に阿蘇海。海の景色が流れていくスピードが心地いい。

20分程して廻旋橋の赤い欄干が見えてきた。天橋立の南端だ。来た道を振り返るとちょっとした達成感に満たされる。

知恵の神様と飛竜

せっかくなので、南側からの天橋立も楽しみたい。その前に智恩寺・文殊堂へ立ち寄る。ここは日本三文殊のひとつとされ、知恵の神様「文殊菩薩」が祀られている由緒あるお寺だ。宮津市の指定文化財に登録されている堂々たる山門をくぐると本堂の文殊堂が迎えてくれる。

妻が本堂前に備え付けられた常香炉に線香を立て、娘たちの方へその煙を一生懸命掛けている。どうか知恵の神様のご利益がありますように。
参道付近にはたくさんのお土産屋さんが並ぶ。店頭で焼いてる、「手作り黒ちくわ」が目に止まった。焼きたてのちくわは初めてだったので、みんなでシェアする事にした。
パリパリに焼いた香ばしい皮の風味と、しっかりとした魚の味が体に染み渡った。

南側の天橋立ビューランドまではすぐそこ。先程同様にリフトで上がる。さっきは緊張していた次女もすっかり慣れてはしゃいでいる。

こちらからの景観は、そのまま見ると龍が降臨したように見え、股の間からのぞくと、龍が天に昇っているように見えることから、「飛龍観」と呼ばれている。龍をイメージして作られた木製の回廊からは360度のパノラマが楽しめる。施設のどこからも絶景が望め、気持ちがいい。
子どもが遊べるちょっとした遊園地もあって親子揃って楽しめそうだ。

娘たちは遊園地を名残惜しそうにしていたけど、サイクリング再開。
ここからは、サイクリングにお勧めの京都オーシャンロードにもなっている阿蘇海沿いを走る。

穏やかな漁村風景 〜溝尻の舟屋〜

実はこの阿蘇海沿いにも伊根と同じ様な舟屋の漁村集落があると聞き、溝尻地区を目指す。今も30軒以上の舟屋が残る「溝尻の舟屋(阿蘇の舟屋)」では、イワシやアサリ漁が行われており、外海にある伊根の舟屋とは違い、穏やかな内海特有ののんびりした風情がある。

舟屋群を散策していると、偶然舟屋を改装したアトリエを見つける。覗いてみると、中の人が「見てみる?」と気さくに招き入れてくれた。
普段は見られない制作の裏側。貴重な機会なのでお言葉に甘えることにした。

山に自生する藤蔓の皮を剥いで糸とし、それを織りあげて作品を作っている坂根さん。この場所に惚れて、舟屋を改装したアトリエだ。繊維状に割いた藤の蔓を取り出して、どんな風に作品を作っているのか子どもたちに丁寧に教えてくれた。こういう旅先で、人の温かさや優しさに触れられるのが旅の醍醐味だなと改めて思う。

絶品ぶどうパフェを堪能する

絶品ぶどうパフェを堪能する

今日のサイクリングは妻が見つけてきた「ぶどうパフェ」で締めくくる。目指すは溝尻の舟屋群を少し南下したところにある「天橋立ワイナリー」だ。
ここは、天橋立の特産品としてすっかり有名になった「天橋立ワイン」の生産地でもある。阿蘇海をバックにぶどう畑が広がる眺めが最高だ。
さっきまでの日本の静かな漁村から突如、ヨーロッパのワイン農場に迷い込んだ様な景色に変わり、不思議な気分になる。

ワイナリーにはレストランやショップも併設していて、見学も可能だというので、ワイン好きの人ならここを目的に来ても楽しそうだ。
今回、僕たちの目的は「天橋立ワイナリーのこだわりすぎたパフェ」通称「ぶどうパフェ」。パフェの内容は季節によって変わるそうだが、天橋立ワインを使うというのがこだわりのようだ。

ぶどう畑とその先に見える阿蘇海、そして天橋立を眺めながらのデザートタイムは最高に贅沢な気持ちなる。
ちょっと大人の味なのかと思っていたけど、娘たちは妻を差し置きペロリ。

ワイナリーの周辺には広大なぶどう畑が広がる。お店の方に尋ねると、ありがたい事にぶどう畑を少し案内してくれた。
ワイン用のぶどうは普段食べる生食用のぶどうより酸味が強いらしい。
「1つ食べていいよ」と言われ、娘たちがどれにしようか楽しそうに選んでいる。
僕も1粒選んで食べてみた。酸味は強いが甘みも強い。
糖度もワイン用のぶどうのほうが高いそうだ。糖分のほとんどがアルコールに変わるというからなんとも不思議だ。

しっかり充電も出来たので、最後の力を振り絞って、スタート地点までe-Bikeを漕ぐ。今日一日で約20キロ近く走っているはずなのに、最後までペダルを漕ぐ勢いが変わらないのは電動アシストが付いているお陰だろう。

景色がゆっくりと流れる自転車のスピード感と、風景を肌身で感じられる臨場感は、車では味わえない格別の良さがある。
何より、程よい疲労感とともに押し寄せてくる、達成感と満足感がたまらない。
そして、この宮津の風景に抱かれていると心が穏やかになっていくのを感じた。

ぶどう畑のレストラン

ぶどう畑のレストラン

Share

カテゴリ一覧に戻る