メロン、桃、梨・・ 京丹後、夏のフルーツを満喫。

旅とトレイル

メロン、桃、梨・・ 京丹後、夏のフルーツを満喫。

京丹後産の桃と出会う

この数ヶ月テレビのトップニュースは新型コロナウィルスの話題ばかり。ほんの半年前までは「コロナ」と言えばビールが飲みたくなっていたのに。4月からは在宅勤務中心の生活になり、ようやく最近この生活でのリズムが掴めてきた。

仕事が一段落するとすぐにリビングでゴロゴロする僕を見かねた妻から、スーパーでの買い物を任されることが増えた。外に出る用事があるのも嬉しくて、頼まれたら喜んで引き受ける。
スーパーではまず、生鮮食品売り場をチェックする。妻に教えられたのは産地をちゃんと確認すること。値段だけに飛びついて何度か叱られたことがある。フルーツコーナーで長女が好きな桃が目に留まった。「京丹後産」と書かれている。日本海側の町と桃の意外な組み合わせに興味が湧いて、2つ買ってみた。

夕食後に家族と食べた京丹後の桃は、みずみずしいのに甘味が濃かった。妻にも娘たちにも「お父さんナイス」と褒められた。ちょっとうれしい。気になって「京丹後、桃」と検索してみると、桃だけでなく、メロン、梨、ぶどう、更にはフルーツガーデンというワードがヒットした。フルーツは妻も小学生になる2人の娘も大好物だ。思い切って日帰り京丹後旅行を妻に提案してみる。「子どもたちにとってもいい経験になりそうね」妻も嬉しそうに乗ってきてくれた。よし決まりだ。

メロン狩りは宝探しだ

土曜日の朝、まだ外食は少し不安だからと妻が娘たちと一緒におにぎりを準備している。自粛期間中にすっかり料理の楽しさに目覚めた娘たち。女性3人でキャッキャと楽しそう。その間に、僕はもう一度ルートのチェック。この時間に家を出たら10時頃には京丹後に着くはずだ。それにしても家族揃って遠出のドライブなんていつぶりだろう。

最初の目的地は「丹後王国フルーツガーデン」。2時間程車を走らせると、景色がすっかり変わり、目の前には田園風景が広がっている。車を降りて深呼吸をしてみたら、山の香りに少し磯の香りが混ざっている気がした。ここでは、春から初冬にかけて旬のフルーツ狩りができ、今日はメロン狩りが楽しめるらしい。1人1,900円で、収穫したメロンを1個、お土産に持ち帰ることができる。受付で娘2人の分を申し込むと、よく日に焼けた優しそうなお兄さんがビニールハウスに案内してくれた。立体栽培で育てられたメロンは、僕の目線の高さくらいに揃えられ、大きな緑色の葉っぱを茂らせている。畝間を歩いていると、時々葉っぱが腕をかすめてチクチクする。

ここでのメロン狩りはとてもユニークだ。メロンの苗は受粉をさせた順番に数字が振られており、その数字は葉の表面に直接書かれているので、誰でも確認ができるようになっている。僕たちはその日伝えられる番号のメロンを探し出して収穫するのだ。宝探しみたいでワクワクする。すぐにコツを掴んだのは次女の方で、すごい勢いで葉っぱに書かれた数字を探しはじめた。この作業はなかなか大変だけどつい夢中になる。そして見つけたときの喜びはひとしおだ。お兄さんに言われた通りT字型に蔓を残してゆっくりハサミを入れると、左手にずっしりメロンの重さが伝わってきた。頑張って探した自分たちへの最高のご褒美ができた。

コロナ禍でなかなか会いに行けない妻の両親にもメロンを贈ることにして、JAの直売所をめざす。夏に旬を迎える琴引メロンは京丹後市が誇るブランドメロンで、この季節の贈答品としてとても人気がある。直売所には、既に丁寧に箱詰めされ、発送を待つメロンがずらりと並んでいた。箱に貼られた金色に光る「京のブランド産品」シールは高い品質を保障するマークらしい。誰もが憧れるあの網目模様が入った高級メロンが大阪では考えられない値段で売られている。せっかくなので、最近子どもが生まれた友人にも贈ることにした。

直売所を後にして、お昼ごはんを食べるために琴引浜まで車を走らせる。約1.8km続く白砂青松の浜は国の天然記念物にも指定されている景勝地だ。流木に腰掛け、潮風を受けながらおにぎりを頬張る。おにぎりにして大正解。最高に旨い。腹ごなしに水際を少し散歩する。海水は底が見えるほど透明度が高くきれいだ。今度は水着を持参して海水浴に来たいな。

いざ、フルーツトレイルへ

午後からは妻がネットで見つけてきたフルーツトレイルへ向かう。「果物の小道」を意味するフルーツトレイルは、地元のフルーツの美味しさを広めようと、2017年に若手農業者たちが立ち上げた取り組みだ。現在は7件の農園やカフェが賛同し、自分たちが育てた旬のフルーツをジュースやスムージー、フラッペといったオリジナルのスイーツにして提供している。7件は国道沿いに近接し、“ハシゴ”もできるというので、スイーツ好きにはたまらない。

1件目は「久美浜SANKAIKAN」。妻のお目当てはTANフラッペ。メロンの果汁と果肉たっぷりのフラッペは、濃厚な甘みとはうらはらに後口がスッキリしていてどんどん食べれてしまう。桃好きの長女は迷わず桃のスムージーを選んだ。ここに来る途中に見かけた、梨畑が気になっていた次女は梨のスムージーに挑戦している。

次に向かったのは「いえき農園」。
車だとさっきの場所から3分程で移動ができた。ここでは収穫したばかりの桃を直売している。直売所に入ると甘い桃の香りが鼻腔を抜ける。「今食べたい!」珍しく長女が勢いよく訴えてきた。たくさん並んだ中から自分たちで選んだ桃をきれいに洗い、皮ごと大きな口でかぶりつく。桃の果汁が口いっぱいに溢れる。「甘い!」「口の中が洪水だ!」娘たちは大興奮で、手がベタベタになるのもお構い無しだ。「これを食べないと後悔する」と妻が勧めるので、さらに「桃づくしのパフェ」もシェアすることに。桃のゼリーやコンポート、シャーベットも入っていて、これでもかというくらい桃を堪能できる。

キャーキャー言いながら桃と桃スイーツを堪能していると、さっき桃選びを手伝ってくれた店主の家城さんが「特別に桃園を見せてあげようか」と声を掛けてくれた。娘たちのキラキラした眼差しが家城さんに向けられる。直売所からすぐの桃園では、桃がまさに最盛期を迎えていた。桃はひとつずつ丁寧に紙に包まれ大切に育てられているのがよく分かる。「ここの桃は海からの風で美味しくなるんだよ」。親切に教えてくれた家城さんとの出会いもいい思い出になりそうだ。

最後は「うみのみえる丘白岩恒美農園」へ。ここでも採れたてフルーツのスムージーが楽しめる。妻の目当ては「キューピッド」と名付けられた赤肉メロンのスムージー。糖度が高い希少メロンだという。僕も好物のスイカのスムージーを見つけたのでオーダー。スムージーにすることで甘みと風味が際立つ気がするので不思議だ。あれだけ食べたはずの娘たちも、ぶどうスムージーをオーダーした。クリの実みたいに大きなブドウの存在感がすごい。ここでは若い男女4人組と一緒になった。どうやら白岩さんのスムージーを目指して、4キロほど離れた夕日ヶ浦からe—bikeと呼ばれる電動アシスト付き自転車をレンタルして来たらしい。「ここに来たのは大正解だよ」太鼓判を押して、彼らと別れた。

夕日を眺めながら

今日の締めくくりは夕日ヶ浦で見る「海に沈む夕日」だ。子どもたちは海に向かって作られた大きな流木のブランコを夢中で漕いでいる。
「お父さん今日はありがとう。京丹後、すごくいいところだね」。視線は子どもたちに向けたまま、妻がいつになく優しく言ってくれた。なんだかちょっと照れくさくなって、僕も目線を夕日にむけたまま「皆が喜んでくれて嬉しいよ」と返した。

今日の日帰り旅ですっかり気を良くした僕は、次回の家族旅のアイデアがむくむくと湧いてきた。聞けば、天橋立や伊根でも例のe-bikeが簡単に借りられるという。なるほどe-bikeか、面白そうだな。伊根はどこかの駅のポスターで見て以来、ずっと行きたいと思っていた場所だ。次は伊根でのe-bikeサイクリングを提案してみようかな。

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