郷土料理 ばら寿司

親から子へと伝承される郷土の味

京丹後地方に伝わるばら寿司は、祭りや祝い事など、ハレの日には欠かせない郷土料理。

甘辛く煮た、さばのおぼろを使うのが特徴だ。

家ごとに味付けや材料などが少しずつ違い、昔は祖母から母、嫁、娘と、その家の独自の味が伝えられてきた。

核家族化が進む現代。

ハレの日の行事も簡素化する中で、家庭内でばら寿司を作る機会も少なくなってきたという。

若い世代がこの味を知らない事に危機感を覚え、
琴引浜の掛津地区の地域の主婦たちが集まる「まんまくらぶ」では、ばら寿司を次世代に繋げていくための活動を行っている。

「昔は、砂糖が贅沢品。ほぐしたさばを甘辛く煮るのは、その家にとってのごちそうだったのです。その具をメインにするばら寿司が、ハレの日のごちそうとして振舞われてきたのではないでしょうか」とまんまくらぶの松尾絢子さんは話す。松尾さんがお嫁にきた時、祖母からばら寿司作りの手順などを教わったそう。「最初の年は、すし飯をうちわで冷ますところから。あまりやりすぎると、祖母から仕事をとるな。と怒られたりして(笑)。ばら寿司作りを通して、嫁と姑の濃密なコミュニケーションが可能でした。家族円満の秘訣です」。祭り、お盆、正月、法事…台所でばら寿司を作っていると、親戚や近所の女性たちも手伝いに集まってきて、わいわいと皆で調理を行うのも日常の光景だったという。

ばら寿司に使われるメインの具は、甘辛く煮たさばのおぼろ。それ以外の具は、家庭ごとや季節によって変わる。基本的には土地のものが中心だ。椎茸、その戻し汁で炊いた高野豆腐、錦糸卵、宮津や舞鶴のかまぼこ、きゅうりなどを細かく刻んで上にちらす。紅ショウガは大切で、梅干しから作り、新生姜を付けた自家製。すし飯は、京丹後米を使う。

松ぶたという、長方形に木の箱に、そぼろ、すし飯、そぼろという順に敷き詰めていく。はさみこむ具も家庭によって違う。昔は、この松ぶたが一家に一台という必需品で、嫁入り道具の一つでもあった。和気あいあいと楽しく調理が進む。

切り分けた時に崩れないように、最後に、軽く手で押し込んでいくのがコツ。色とりどりにちらされた具は、ハレの日の食卓にふさわしい華やかさ!

実は、四角に切り分けるのが一番難しいのだとか。松ぶたに入れた目盛りを目安に、一つ一つ丁寧に切り分けお皿に盛り付ける。一つのピースは、ずっしりと重く1㎏程度になる。これが一人分なのだが、見た目のボリュームとは裏腹に、ぺろりとたいらげることができるから不思議だ!

まんまくらぶの丸田智代子さん(左)、松尾絢子さん(中)、松尾稲子さん(右)。掛津にある集落の家の主婦たちが集まって、地元の高校や若い世代を対象に、ばら寿司をはじめ、地域の郷土料理を伝承している。