【ふるさと納税】自ら育てて搾る。できたての新鮮な醤油を頂くという発想(今しぼり)
昔ながらの田園風景や里山の自然が残る綾部は、豊かな水や肥沃な土地に恵まれ、良質なお米を育てるのに適した風土。米どころとしての認知度が高まりつつあります。綾部に移住し、地元の米や食材に新たな可能性を見いだし、チャレンジを続ける人たちを追います。
自ら育てて搾る。できたての新鮮な醤油を頂くという発想 【今しぼり】
日本の毎日の食卓に欠かせない醤油。存在が当たり前過ぎて、それがどんな原料でどんな風に作られているのか、あまり意識する機会もなく口にしていることが多いかもしれません。自ら醤油を育て、搾って、食べる体験ができる醤油キットの存在を知り、改めて醤油と向き合い、醤油にこだわってみたくなりました。
株式会社今しぼりは、2017年、里山の自然豊かな志賀郷に移り住んだ複数の家族によって立ち上げられました。代表の多田晃さんは大阪出身の元高校教師。バイクで訪れた志賀郷で良い物件と巡り合えたことを機に早期退職し、2013年からこの地に移り住んでいます。
志賀郷はIターン移住の人も多く、仲良くなった人たちと地元に根付いた産業を作ろうとアイデアを出し合い、生まれたのが醤油づくりでした。
もともと醤油は味噌と同様に農家で作っていたもの。また、昔は地域にひとつは醤油屋があり、その土地の風土によって違う味わいがあったと言います。
今しぼりで作るのは、昔ながらの古式本醸造醤油。現在流通する醤油の大半を占める、脱脂大豆とアミノ酸を用いて短時間でつくるのではなく、国産の有機小麦と国産大豆、瀬戸内の粗塩だけを使い、時間をかけながら自然の力を借りてつくる醤油です。
まずはじっくり煎りあげ粗挽きにした小麦と、柔らかくなるまでゆでた大豆に麹菌を混ぜ、麹室で72時間醗酵させ醤油麹を作ります。醤油の味わいを決める大切な工程で、温度が高くなりすぎると納豆菌が発生してしまうため、昼夜問わず、細心の注意を払った温度管理が必要です。
仕込みと呼ばれる工程では、この緑色の麹菌に包まれた醤油麹を樽に入れ、荒塩で溶かした水としっかり混ぜ込み熟成させていきます。通常半年ほどで醤油になりますが、今しぼりではうま味を追求し、2年の熟成期間を経て製品にしています。
こうして完成した自家製醤油は、酵母が生きた生醤油「生生(きき)醤油」と命名。添加物を入れず、殺菌処理も行わない、醤油樽から組み上げたばかりの昔ながらの醤油を味わうことができます。
「今しぼり醤油(もろみ)」は出来たての醤油を製造過程で出る醤油もろみといっしょに瓶詰めしたもの。専用の卓上醤油しぼり器を使い一番しぼりの醤油を楽しむ醍醐味が味わえる他、そのまま食べても、絞った後のもろみだけを楽しむことも出来る、看板商品のひとつです。
この醤油もろみは圧搾にこだわったオイルと綾部産のニンニクや山椒、唐辛子と一緒に瓶詰めにし、万能調味料「食べる醤油(もろみのオイル漬け)」としても商品化。調味料としてだけでなく、ドレッシングやソースとしても活用できる優れものです。
「育てる醤油」キットは古式醸造醤油の熟成期間の長さを、「自分で育てる楽しみ」という逆転の発想で付加価値に変えたアイデア商品。卓上しぼり器とセットにすれば、素敵なギフトの完成です。
会社創設から5年。多田さんは地域で仕事が生まれ、稼げる仕組みをつくることが地域の未来に不可欠だと考えます。今、新たに準備しているのは、一日一組限定のキャンプ場。バイオトイレなども取り入れる予定で、自然との共存や環境について考え実践する場にもなりそうです。
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